時事ネタ帳

ちょっとした会話ネタ用とかに

特定秘密保護法案と現行憲法の関係性について

先日、国家機密の漏洩や情報開示について定めた「特定秘密保護法案」の衆議院通過がテレビや新聞などさまざまなメディアで大きく取り上げられました。それから2日あまりが経過した現在でも多くのメディアで論評や問題点の指摘などが行われています。今回はこの政治問題についてまとめるとともに、それについての感想を書いていきたいと思います。

 

そもそも、この法案は日本がこれまで軍事情報や外交情報などの国家機密保護に関して法律が存在しなかったことに端を発しています。ほとんどの国ではこれらの国家機密の扱いに関して厳密な規定があり、その漏洩には厳罰に処されるというのが国家としての常識です。では、何故日本に国家機密を保護及び管理をする法律が無かったのかと言いますと、ご存知のとおり日本は敗戦をし、第二次世界大戦GHQの占領下となり、サンフランシスコ講和条約締結まで国家主権の無い状態が続きました。

 

その間にそれまでの憲法が破棄され、GHQが新たに作成した憲法である「日本国憲法」が今なお日本の憲法として使用されているからです。占領下の憲法ということで、主権については非常に希薄ですし、戦力の放棄を謳われていますので、陸・海・空の三軍もありません。国家機密の一つである軍事情報の保護や管理も必要がない状態が続いたのです。占領下に作られた憲法を利用しているからこそ、これまでこうした法律が作られることはなかったのです。

 

しかし、日本の現状はと言いますと、憲法で禁止されているはずの戦力の保持が自衛隊という形でなされ、守るべき国家機密が出てきたことになります。自衛隊は違憲だからおかしいという意見もありますが、尖閣諸島での中国との問題、韓国との竹島問題、ロシアとの北方領土問題などの領土問題に加え、北朝鮮の日本人拉致事件など、さまざまな問題があります。また、冷戦崩壊以後は、世界情勢が不安定化していますので、日本もその安定のために自衛隊を国外に派遣する必要性が増しつつあります。

 

そうした時に外国の友軍と共同作戦を取る必要も出てきます。そうした場合、お互いの機密情報を共有化することがありますが、そうした場合に機密に関する法律が無いと問題が出てきます。現実は憲法前文に書かれた「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」できる状態ではなくなっているのです。これは、一つの法案の問題と思われがちですが、現在の憲法の問題にも繋がる非常に根の深い問題でもあります。何を機密とするのかの基準や国民の利益に反するような情報の隠蔽があった場合にどう対処するのかなどさまざまな問題はありますが、法案の中身ではなく、法案が作られることそれ自体に反対するような意見は間違っているといわざるを得ません。これから参議院での審議が始まりますが、中身について議論することが政治の責任です。